10年前、ヘルスケアにおけるサステイナビリティは単なる流行語でしかありませんでした。
現在、世界中のヘルスケアの意志決定権者の注目を集めていますが、それには理由があります。
200以上の医学誌が認めている2021年9月のレポートでは、気候変動を世界の公衆衛生の「最大の脅威」としています。
1. これを受けて、2023年のヘルスケア企業は、自社の資産の環境への評価と持続可能なネットワーク形成に、これまで以上に緊急性をもって取り組んでいます。
2. Deloitteの別の報告書では、気候変動の課題に対応するためによりレジリエントなオペレーションを構築する際に、ヘルスケアのリーダーが考慮すべき4つの重要な所見が示されています。
- 気候変動により、健康の不公平が拡大する可能性がある。
- 気候変動が進むにつれ、コストは上昇すると予想される。
- ヘルスケア組織には、気候変動がもたらす危機の解決において果たすべき重要な役割がある。
- 持続可能な組織は、先手を打って対応している。
ヘルスケア物流の企業は特に、サプライチェーンのサステナビリティの効率化と医療廃棄物の削減、全体的な二酸化炭素排出量削減に注力しています。将来のニーズのための投資が、最重要の検討事項です。将来のサプライチェーンは、品質を保ちつつ最適化と脱炭素化を進める必要がある
手順、課題、解決策
正直に言えば、ほとんどの企業はサステイナビリティへの取り組みの初期段階にあることを認めています。おそらく、サステイナビリティの目標と優れたサービスのバランスを取りながら、緊急性を高めて行動を起こしていると思われます。
こうした企業の今後のサステイナビリティへの取り組みは、考えられるほどには厳しいものではありません。
ます、意志決定権者は、企業がサステイナビリティへの取り組みのどの段階にあるのかを明確に把握する必要があります。二酸化炭素排出量の分析や指標/数値などのデータを収集し理解することが重要になります。
第二に、企業は実際に管理可能な改善の機会を特定する必要があります。これは、業務や設備はもちろんのこと、サステイナビリティ文化を浸透させ、同じサステイナビリティの価値観を持つパートナーを選び、サステイナビリティへの取り組みに他のすべての取り組みと同様の厳格な品質管理を適用するといった行動も意味します。
第三に、企業には、現実に即したサステイナビリティのロードマップが必要です。サステイナビリティは、企業の競争優位性にもなり得ます。
どのような企業でも、サステイナビリティへの取り組みで課題が予想されます。
自社の人材と、サステイナビリティを重視する専門家に対するニーズとの間に乖離が見られる場合があります。この問題に迅速に対処する一つの方法は、ベストプラクティスを共有するために、物流のサステイナビリティのコンサルタントを雇うことです。チームは時と共に学んでいきます。
他の課題としては、組織全体の可視化があります。
最高の物流パートナーは、サプライチェーン全体の概要を「管制塔」の視点から示すことができます。推測ではなく、リアルタイムのデータに基づき、スマートで迅速かつ持続可能な意思決定につながる連携と効率性を向上させる多くの方法が明らかにされています。
最適化と継続的改善
世界の日中の平均最高気温が記録を更新し、森林火災や洪水、強風がかつて経験したことのないほど突然発生し脅威を増す中で、サステイナビリティは無視することはできません。
サステイナビリティには、無視できない見返りもあります。
企業にとって、サステイナビリティへの取り組みは必要だが投資の負担になる考えてしまうかもしれません。当社の考えは少々異なります。
サステイナビリティという別のレンズを通してサプライチェーンを見てみると、最適化し、継続的改善を計画の中心に据える先行投資によって、実質的かつ持続可能な中長期的見返りがあることがわかります。
将来のネットワークでは、コストのサステイナビリティが不可欠な要素となります。生産の現場や業務全体でエネルギー消費を管理することで、燃料やエネルギーのコストの高騰に対応できるようになります。ヘルスケア物流業界は、資産の有効活用と最適化への取り組みを強化しており、サイロから調達したり、十分に活用されていない高額な航空チャーターやトラックに不必要にお金を払うのではなく、企業全体で資産を共有する方法を模索しています。
将来のサプライチェーンは、情報技術やデータ、人工知能が中核となり、すべてのトランザクションが最適化されるようになります。当社の統合された物流ネットワークや再生可能エネルギーを使用した建物や車両のようなステップは、地球と人々のためのエキサイティングな取り組みの一部分に過ぎません。
UPSのCEOのCarol Tomeは、2023 UPSサステイナビリティレポートの冒頭で、「私たちは、社員を大切にし、今日そして明日のお客様とコミュニティに貢献しながら、地球にやさしいソリューションを追求することを約束します。」と述べています。
Cathy O’Brienは、UPS Healthcareの国際営業担当バイスプレジデント。
UPS Healthcareのサステイナビリティへの取り組むの詳細をご覧いただき、御社をどのように支援できるかについては専門家にご相談ください。
1. Winston Choi-Chagrin, "Medical journals call climate change the "greatest threat’ to public health'," New York Times, 2021年9月7日
2.Deloitte Center for Health Solutions and the Deloitte Center for Integrated Research, "Why Climate Resilience is Key to Building the Health Care Organization of the Future," Deloitte, 2022年4月4日