ニアショア(ニアショアリング)、オフショア(オフショアリング)、リショア(リショアリング)の違いは?
オフショアリングとは、事業の運営を他国に移転することを意味します。この言葉は、1970年代から1980年代にかけてよく使われるようになりました。効率を高め、人件費を削減するために海外に業務を移転する企業が増えたからです。たとえば、当時は米国から中国に製造拠点の移転が行われていました。
ニアショアリングはオフショアリングから派生したものですが、事業を他国に移転するのではなく、自国に近い国に移転することを指します。たとえば、米国の企業が、製造拠点を中国から米国に近いメキシコに移転する場合などです。
オフショアリング
オフショアリングとは、企業が経費節約や特別な技能活用のために、業務の一部を他国(通常は遠く離れた国)に移すことです。この言葉は、1970年代から1980年代にかけてよく使われるようになりました。効率を高め、人件費を削減するために海外に業務を移転する企業が増えたからです。たとえば、当時は米国から中国に製造拠点の移転が行われていました。
ニアショアリング
ニアショアリングはオフショアリングから派生したものですが、事業を他国に移転するのではなく、自国に近い国に移転することを指します。たとえば、米国の企業が、製造拠点を中国から米国に近いメキシコに移転する場合などです。
リショアリング
オンショアリングとも呼ばれるリショアリングとは、企業が他国で行っていた業務や生産を自国に戻すことです。リショアリングの理由としては、輸送コストの上昇や地政学的な問題、サプライチェーンの制約や不安定化、人件費の上昇などがあります。
ニアショアリングがトレンドになっている理由
米国の対外貿易政策や関税にこの数年変化が見られ、特に対中関係でこの傾向が今後強まる可能性があります。米国の次期政権は、サプライチェーン戦略の一環として、中国やその他の海外製造拠点への依存を減らすことに力を入れる計画を打ち出しています。そのひとつが、特に中国からの輸入品を意識した、輸入品に対する関税率引き上げ策の導入です1。これを受けて、企業はサプライチェーンを多様化し、貿易混乱の可能性を最小限に抑えるためにニアショアリングなどの戦略を模索すると思われます。
メキシコのニアショアリング
2023年、メキシコは米国最大の貿易相手国となり2、今後もその位置付けが続くでしょう。多くの米国企業にとってメキシコがニアショアリングの相手国として熱い支持を得ていることには、いくつかの理由があります。
- 近隣からの輸送による時間・コストの節約: 米国の隣接国であるメキシコなら、アジアやヨーロッパに比べると輸送コストが低く、配達時間も短くなります。
- 配送時間の短縮: eコマース企業にとって、迅速な配送は顧客の期待に応えるために不可欠な要素です。メキシコへのニアショアリングにより、アジアその他の遠隔地から製品を調達する場合と比べてより迅速な配送が可能になります。
- 税制上の優遇措置: 2018年に米国通商法301条関税(中国原産の輸入品に課される追加関税)が発効されて以来、アジアから米国への輸送に携わる企業について大きな見直しが行われています。メキシコまたはその近隣国でニアショアソリューションを立ち上げることで、企業は第301条関税の影響を軽減し、メキシコと米国の間のUSMCA自由貿易協定を活用できます。
- 環境と持続可能性の目標: メキシコからの輸送は、海外からの輸送に比べて燃料消費量が少ないため、カーボンフットプリント(二酸化炭素排出量)の削減に貢献できます。
アジア太平洋地域のニアショアリング:チャイナプラスワン
グローバルトレードレーンの変化におけるもうひとつのトレンドは、「チャイナプラスワン」戦略です。これは、中国でのオペレーションを維持しながらメキシコなどの別の国に事業を拡大するアプローチで、サプライチェーンの多様化、関税の削減、リスクの最小化を目指す戦略です。