今日のサプライチェーンに対する保証はありませんが、2023年の動向と、2024年に荷送人が受ける可能性がある影響について考察しました。サプライチェーンを取り巻く環境は、進化する税関規定、地政学的な動向、イノベーション、貨物需要や輸送能力のシフトなど、動的な要因の影響を絶えず受けています。貿易フローの変化、ニアショアリングへの注目が高まる新たな調達戦略など、貿易情勢についての議論が引き続き行われています。2024年の全体的な市場指標は、フレートフォワーディングがより安定した見通しであることを示しています。航空運賃、海上運賃はともに2023年の動向を継続し、ほぼ横ばいとの見通しになっています。
以下に、2024年に実施されるだろうと予想される事柄の詳細を、輸送手段やサービス別に分類して紹介します。2024年に期待できることの詳細については、UPSの最近のウェビナー「2024年エンドツーエンドサプライチェーンの展望」をご覧ください。
UPS Supply Chain Solutionsは、お客様のエンドツーエンドのソリューションプロバイダーです。ビジネスのサプライチェーンの最適化についてご質問がある場合は、UPSのエキスパートにお問い合わせください。
2024年、米国航空貨物輸送では石油が大きな役割を果たすと予想されています。中東とウクライナで進行中の紛争により、原油価格が高騰し、支出が増加する恐れがあるためです。中東からの石油の輸出は、米国のインフレ率の上昇と相まって、米国経済に影響を与える可能性があります。石油の輸出が両地域の経済間の拘束要因となっているからです。
長期的な消費者指数レポートを見ると、予想される景気状況は軽微な変化を示しています。これは、消費者が現在の経済状況の悪化はそれほど長くは続かないと考えていることを示しています。今年は消費者の出費意欲が上がっているため、来年には在庫が減少し始める可能性があります。企業がメキシコなどでのニアショアリングソリューションを模索し始めると、2024年には米国航空貨物の需要と数量が増加する可能性があります。
世界のマクロ経済予測によると、2024年の見通しはばらつきがあることが示されています。GDP成長率は2023年に比べて低くなり、低調なスタートの後、2024年後半に徐々に回復すると予測されています。逆に実質輸出は、市場と製造業が世界的に回復を続けているため、2023年の低調なペースから大幅に成長すると予想されます1。世界の生産能力はすでに2019年の水準を上回るほど完全に回復しており、2024年前半には若干の縮小を示す可能性がありますが、ほぼ横ばいを維持するでしょう。航空貨物の需要は、2023年の難しい状況から力強く回復すると見込まれています。Accenture Cargoによると、2024年には前年比4.7%増となり、2022年の需要レベルには達しないものの、APAC域内の力強い成長に加え、多大な影響を受けた太平洋横断航路の一部でも同様に力強い成長が見られると予測されています2。世界的な需要の回復と生産能力の成長の鈍化により、市場運賃は、ほぼ横ばいで推移すると思われます。2024年の最初の9か月間は低水準にとどまり、第4四半期に上昇してまさに配送の繁忙期に戻る可能性があります。ただし、イスラエル・ハマス紛争やウクライナ紛争など、世界的な混乱が続いているため、2024年中には原油価格、ひいては市場運賃に変動が生じる可能性があります。
航空貨物輸送でビジネスを軌道に乗せるためのサポートをお探しですか?ご質問がある場合は、UPSの航空貨物輸送のエキスパートまでお問い合わせください。
2024年は300万TEUの船腹が市場に供給される見込みで、再び記録的な年になると予想されています。積載能力が過剰なわりに需要が低いため、輸送市場の積載能力が過剰になることを意味します。2024年のDrewry需給指数は74.3で、これまで報告されたDrewryの需給スコアの中で裁定となると予想されています。参考までに、100が「市場均衡」のベンチマークです。100未満の数値は、供給が需要を上回っていることを表します。この需要と供給の環境から、運賃水準はかなり低くなり、ブランクセーリング(抜港)、減速運航、コンテナ船の寄港地への航路や寄稿頻度を調整するなど、運送業者のキャパシティマネジメントが増え、利益を維持できる範囲で運賃を切り詰めようとする動きが見られるでしょう3。
お客様の2024年度のビジネスプランに関するご相談などがございましたら、UPSの海上貨物輸送のエキスパートまでお問い合わせください。
2024年に目を向けると、米国国土安全保障省 税関・国境取締局(CBP)は米国への輸入品に対し、ウイグル強制労働防止法(UFLPA)のさらなる施行を継続すると予想されます。この予想は、「中国は政策を変えず、強制労働を削減する意思がないと思われる」という米国政府の最近の声明を根拠とするものです。そのため、原材料から金融機関に至るまで、サプライチェーンのどの部分でも強制労働が行われていないことを確認する責任負担が米国の輸入者に依然として存在します。CBPは、UFLPAを執行するために使用するツールの開発と改良を続けています4。
さらに、さまざまなパートナー政府機関(PGA)が新年度に新しいデータ要素を要求すると予想されています。米国農務省(USDA)の「レイシー法」など、一部の政府機関では既存の報告要件に新しい品目を加える予定です。また、消費者製品安全委員会(CPSC)、全米有機プログラム(NOP)、魚類野生生物局(FWS)など、ACE(Automated Commercial Environment)によるデータ提出を義務付ける政府機関もあります。
最後に、米国通商代表部(USTR)による第301条の適用除外を確保するための新たなプロセスの可能性や、議会による一般特恵関税制度(GSP)の再評価を含む、特定の通商プログラムの見直しが予想されます。
お客様に必要なのは、ビジネスの複雑さを理解できる通関業者です。UPSの通関業務エキスパートにお気軽にお問い合わせください。
前述したように、商品の製造拠点を分散させることで事業を保護するために前向きな対策を講じている企業の動向は、2024年まで続くと予想されます。この戦略の転換の狙いは、サプライチェーンの潜在的な混乱を受けて生じる脆弱性を軽減することにあります5。なかでも注目すべきは、特に米国企業の間でメキシコでのニアショアリングの人気がさらに高まるという予測です。これは、2023年5月に同国への外国直接投資が5.8%の大幅な伸びを示し、製造業にとってメキシコが魅力的な目的地となったことからも明らかです6。こうした展開は、地政学的な変動やサプライチェーンの予測不可能性を特徴とする環境に抗わず、順応して成功を収めようとするビジネス界の広範な取り組みを反映しています。
グローバルロジスティクスやニアショアリングソリューションに関するご質問がございましたら、UPSのグローバルロジスティクスおよび配送のエキスパートまでお問い合わせください。
まとめると、2024年は企業が成長できる安定した年になると予想されます。UPS Supply Chain Solutionsは、航空および海上貨物輸送、通関業務の専門知識、倉庫管理、ニアショアリングの各ソリューションに至るまで、エンドツーエンドのサプライチェーン・ソリューションを提供できます。