貨物輸送および物流のニュースと市場の最新情報

航空

• 米国東海岸とメキシコ湾岸の港湾でストライキの機運が高まっており、すでに圧迫されている米国の航空貨物網にさらなる負担がかかる可能性がある。同輸送網は現在、APACのハブ空港からの大量のeコマーストラフィックに対処しており、利用可能な輸送能力を大幅に消費している。繁忙期が長引き、激化する可能性が高まる中、港湾の労働争議の長期化により需要がさらに急増すれば、すでに圧迫を受けている輸送網が大きく混乱する可能性がある。
• 7月のPMI（購買担当者景気指数）データは、米国の製造業がすべての主要産業で縮小し続けていることを示している。この下降は、需要の低迷によって引き起こされており、連邦政府の政策や経済情勢が不透明であることで、企業は設備投資に慎重になっていることが背景にある。米国の選挙をめぐる最近の政治的不確実性が、状況をさらにこじらせている。
• Alaska Air（アラスカ航空）とHawaiian（ハワイアン航空）の合併が米国司法省の独占禁止法（反トラスト法）審査を経て承認され、進展している。この契約が成立すると、新組織による輸送ネットワークは大幅に拡大し、ハワイの航空旅行市場の半分以上を獲得することになる。

海上

• 中国製品への新関税が課される可能性や、ILWU労働者のストライキ機運の高まり、ホリデーシーズンの到来など、さまざまな懸念が渦巻く中、米国の輸入量は急増を見せている。このような圧力にもかかわらず、ロサンゼルス/ロングビーチ複合港などの主要港は、増大する物資の流入をうまく管理してきた。
• カナダの2大鉄道会社であるCanadian Pacific Kansas CityとCanadian National Railwayは、週末の交渉が失敗に終わったことを受け、8月22日（木）からストライキに突入する。土壇場で合意に達しない限り、このストライキは全国の鉄道輸送に大きな影響を与えるであろう。

航空

• 8月15日現在、ブラジルの企業であるModern Logisticsはラテンアメリカ全域に事業範囲を拡げ、コロンビア、エクアドル、チリ、アルゼンチン、ウルグアイにサービスを展開している。同地域でのサービス能力を強化するため、ボーイング737-800型機の新たな導入もこの事業拡大に含まれている。
• 4,988万ドルが投じられたビル・ビル国際空港は、ボリビアの旅客および貨物輸送の重要なハブ空港になる予定である。同国政府は、9月までにプロジェクトの第一段階を完了させ、空港の貨物取扱い能力と戦略的重要性を高める計画を進めている。
• ライフサイエンス関連輸出の着実な伸びを実現したプエルトリコのライフサイエンス航空貨物コミュニティは、航空貨物取扱量が大幅に増加した2023年と比較すると、欧州への航空貨物輸送能力は22％増、南米へは35％増となり、世界のヘルスケアロジスティクスにおいて同地域が果たす役割の拡大を反映している。

海上

• パナマ運河は大西洋と太平洋の間を航行する船舶の最大許容喫水を50フィートに引き上げ、大型船舶に対応し、運河の効率性を高めている。これは運河の運営を正常化し、大型船舶の航行に対応し、運河の機能と効率を高めることを目的とした調整である。
• コロンビアの航空貨物輸出の80％は花で占められており、2023年だけで31万トンが出荷された。これらの花卉輸出の主要市場は依然として米国である。

航空

• 通常は需要が落ちる季節であるにもかかわらず、航空貨物の需要が増加傾向にあるのは、中国の大手小売業者であるSheinとTemuが米国および欧州で顧客基盤を拡大し続けているためである。現在、eコマースは航空貨物量の5分の1を占めており、その割合は毎年増加し続けている。米国とEUはeコマース貨物に対する規制監視体制を強化しており、新たな規制が需要にどのような影響を与えるかはまだ不透明である。
• Air Incheon（仁川航空）は、Asiana Airlines（アシアナ航空）の貨物部門を3億4200万ドルで買収する予定である。この買収により、Air Incheonは韓国第2位の貨物航空会社となることを目指している。これは、Korean Air（大韓航空）によるAsiana Airlines買収に向けた幅広い取り組みの一環であり、今年10月までに規制当局の承認が予想されている。

海上

• Mediterranean Shipping Companyは、2,732TEU搭載可能なコンテナ船MSC Taniaで、香港を発港とする北アジア・ANZワラビー間の航路を8月19日に再開する。中国とオーストラリアの主要港を結び、増大する輸送需要と市場動向の変化に対応する。
• インドのナバ・シェバ港で8月20日に予定されていた輸送機関のストライキは9月9日まで延期された。現在、ターミナルが混乱に見舞われているため、このストライキはサプライチェーンに大きな支障をきたす可能性があった。  

航空

• 2024年上半期、ウィーン空港の航空貨物取扱量は前年同期比17％増の14万1,118トンとなり、パンデミック前の数字を4％上回った。また、医薬品貨物も8.2％の増加を記録した。7月だけでも、航空貨物量は2023年比で21.1%急増したが、これは主に旅客輸送量の増加に伴うベリーカーゴの増加によるものである。

海上

• 2024年上半期、紅海危機や緩慢なドイツの経済成長などの課題にもかかわらず、ハンブルク港は安定したコンテナ業務を続け、380万TEUのコンテナを取り扱った。コンテナ貨物の取扱量は堅調に安定を保ったものの、ばら積み貨物の取扱量は12.1％減少した。これは主に石炭輸送量の減少によるもので、より持続可能なエネルギー源への移行が進んでいることを示している。
• CMA CGM（フランスの海運会社）は2024年9月15日より、地中海の港から米国東海岸、メキシコ湾岸、メキシコ東海岸、カナダ東海岸、および関連する内陸の仕向地に輸送される貨物を対象に、ピークシーズンサーチャージ（PSS02）を導入する。サーチャージは、20フィートコンテナ1本が350ドル、40フィートおよび45フィートのコンテナ1本が700ドルとなる。エジプトを除く、スペイン、イタリア、ギリシャ、トルコなどの地中海沿岸国の港から出荷されるすべての種類の貨物に適用される。

航空

• バングラデシュの抗議活動が拡大するにつれ、航空貨物市場は大幅な遅延に直面しており、貨物の動きが著しく鈍化している。その結果、ダッカ発の航空貨物の平均スポット運賃は、1キロ当たり4.87ドルにまで急騰し、昨年の3倍となった。これらの遅延を回避するため、顧客は航空・航空輸送（コロンボ、シンガポール、マレ、ドバイ経由）、陸上-航空輸送（デリー経由）、海上・航空輸送（コロンボ、ドバイ経由）を含む代替ルートを選択している。
• インドの大手チャーターブローカー、Air Charter Service（ACS）は、今年に入って航空貨物と旅客の取扱量がいずれも42％増加した。これは紅海危機の影響を大きな要因とする成長であり、海上輸送に伴うリードタイムの増加を回避する戦略として、荷送人はチャーター航空便を選択するようになったことによる。
• アブダビを拠点とするEtihad Cargoの貨物部であるEtihad Cargoは、2024年上半期の貨物トン数が前年同期比で17％増加したと報告した。特にUAEでの伸びが15％増と顕著で、東部と西部でもそれぞれ19％増と20％増を示している。eコマースや家電製品、特にモバイルフォンへの需要の高まりを受けて、Etihad Cargoは従来の貨物だけでなく、モバイルデバイスに不可欠なリチウム電池などの危険物も取り扱える体制を整えている。

海上

• インドの12の主要港湾で働く労働者は、賃金交渉の行き詰まりを理由に、8月28日から無期限ストライキに入ると発表した。この措置により、港湾の混雑、貨物の遅延、業務コストの上昇などの影響が生じ、既に圧迫されているサプライチェーンをさらに悪化させると予想されている。
• Folk Maritime（ドバイの運送業者）は、2024年第4四半期にインドと中東湾岸および紅海を結ぶ業務を開始する計画を発表した。紅海の混乱によって、この戦略は一部遅れているものの、同社は中東地域の近海サービスやフィーダーサービスの拡大に注力を続けている。同社はまた、ジッダ経由で運用している主要コンテナサービスを通じて、紅海北部から他の仕向地への拡大にも注力している。
• インドの首相は、8月30日に深海港であるヴァダヴァン港への定礎式を行う。この戦略は、海洋インフラ（港湾、海運、造船）と取扱能力を強化するインドの取り組みの一環である。推定投資額は7,622億インドルピーで、インドの港湾能力を大幅に向上させるプロジェクトなるであろう。9か所のコンテナターミナル、20メートルの深水喫水が設けられ、最大2万4,000TEUのコンテナ船を収容できるようになる。
• 南アフリカ海上安全局（SAMSA）は、CMA CGMの船舶「Belem」が、8月16日に南アフリカ共和国のリチャード・ベイ沿岸を航行中に99TEUのコンテナを失ったと報告した。この事故は、CMA CGMの船舶「Benjamin Franklin」が喜望峰を通過中にコンテナ44本を失った事故に続くものである。

陸上輸送

• Mahindra LogisticsとSangti Solutionsは、通信、自動車、製造、eコマースなどの主要セクターの二酸化炭素排出量を追跡するKPIを開発する目的で、提携することを発表した。この共同作業化は、サプライチェーンの脱炭素化、テクノロジーを活用した排出量の効率的な監視・削減というMahindraの取り組みを裏付けるものである。
• MawaniとAljeriは、ジッダ・イスラム港とダンマームのキング・アブドゥルアジーズ港に2つの新しいロジスティクスゾーンを開設すると発表した。総面積15万平方メートルに及ぶこのゾーンの開設には4,260万ドルが投じられ、サウジの港湾のオペレーション効率を高めることを目的としている。
• サウジアラビアは、「ビジョン2030」の目標に沿って大規模な経済変革を進めており、2024年上半期には運輸・ロジスティクス部門への投入資金が275％増加する見込みである。このような投資の急増により、同地域は現地の投資家だけでなく国際投資家も引き付けている。

• 消費者製品安全委員会（CPSC）は、ボタン型電池やコイン型電池を使用する玩具について、より厳しい安全基準を新たに提案した。提案には、子供がこれらの小型電池を飲み込むのを防ぐために、より厳格な性能および表示要件が盛り込まれている。提案に対するパブリックコメントの提出期限は10月15日である。
• 米国税関・国境警備局（CBP）は2024年8月14日、音響増幅装置を補聴器（HTSUS 9021.40.00）からヘッドホン・イヤホン（HTSUS 8518.30.20）へ再分類することを提案した。いずれも無税。この再分類は、過去のいくつかの裁定を覆すものである。提案に対するパブリックコメントの提出期限は9月14日である。
• カナダの主要貨物鉄道会社CNとCPKCは、労働争議の可能性に備えて米国からカナダへのインターモーダル（複合一貫輸送）をすべて停止した。両鉄道会社と労働組合のTeamsters Canada Rail Conference（TCRC）は、契約交渉の決裂の責任は相手方にあると互いに非難している。さらにカナダ労使関係委員会（CIRB）は、ストライキが発生した場合にCNとCPKCの鉄道輸送業務は法的には不可欠であるとは見なされないと判断を下した。ストライキは8月22日の東部標準時深夜には開始すると予想されており、両鉄道会社は混乱の可能性に備えている。