貨物輸送および物流のニュースと市場の最新情報

航空

• 先週フロリダ州に上陸したハリケーン「ミルトン」は、同州全域のインフラに甚大な被害をもたらし、数百万人が停電に見舞われた。初期の推定では被害額は1,600億ドルを超える。経済活動が現在も麻痺しているため、さらなる損失が発生する可能性があるとされている。
• 労働者の争議による遅延と混乱を受けて、ボーイングは777-8型貨物輸送機の初納入を2028年に延期し、767F型機の生産を2027年に停止すると発表した。また、最近の事故や生産遅延を立て直すための回復努力の一環として、従業員の約10％に影響を与える大幅な人員削減計画を発表した。
• ノースカロライナ州で発生したハリケーン「ヘレン」の余波が、医療製造業の厄介な問題を浮き彫りにした。Premier Inc.（米国のヘルスケア企業）によると、米国の医療従事者の86％以上が点滴液不足に頭を悩ませており、その主な原因は米国の点滴液供給量の60％以上を生産しているBaxter Internationalの施設が浸水したためであると報告している。Baxterは他の施設でも点滴液の増産を計画しており、あらゆる資源を投入して操業を回復させるとしている。サプライチェーン投資会社のCambridge Capitalも、航空貨物などの代替輸送手段を検討する必要があると強調している。

海上

• タンパ港は、周辺のほぼ全域に影響を与えた停電により数日間の閉鎖を余儀なくされたが、操業を再開した。ハリケーン「ミルトン」は、タンパおよびフロリダ州全域に及ぶ混乱を引き起こした。瓦礫や流木が散乱し、ハリケーンの余波が今後も航路に影響を及ぼす可能性があるため、さらなる遅延や混乱を引き起こす可能性がある。

航空

• Avianca（アビアンカ航空）は、2024年末までにマイアミへの貨物積載能力を20％増強する意向を発表した。ラテンアメリカから米国への生花の輸送は今後も増え続けると予想されている。現在はキトから米国へ週10便が運航されている。
• Plus Ultra（プラスウルトラ航空）7年ぶりにマドリード発サンティアゴ行きのフライトを再開し、2025年6月から週3便の運航を開始する。同社はこの路線で LATAM（ラタム航空）やIberia（イベリア航空）と競合することになる。
• 中国からの輸入への依存を減らすために、メキシコは国内サプライチェーンの拡大・支援を目指している。大統領選で当選したシェインバウム大統領の新政権は、米国の自動車、半導体、電子機器などの業界のメーカーに対し、メキシコでの製造規模を拡大し、中国製の製品や部品をメキシコ産に置き換えるよう要請している。

海上

• 米国東海岸の主要港湾を3日間麻痺させた港湾労働者のストライキは、メキシコのアルタミラ港やベラクルス港にまで影響を及ぼしており、輸送コストや納期にまで波及する可能性がある。  
• ハリケーン「ミルトン」の影響でフロリダ港は閉鎖されたが、プエルトリコへの貨物輸送はこの2港からの航路が存在するため影響はないと思われる。

航空

• 2024年10月には、アジア太平洋地域（APAC）発航空貨物のスポット運賃は、中国のゴールデンウィーク休暇の影響で一週間程度の下落を示したものの、今年の最高値に達した。ベトナムは飛躍的な成長を続けており、ベトナムから北米および欧州への各路線の輸送能力はそれぞれ前年比で86％および11％増加している。それに応じて、これらのベトナム発路線の運賃は北米で65％、欧州で58％上昇している。 

海上

• アジア発航路の海上コンテナ運賃は、米国東海岸とメキシコ湾岸の小規模なストライキが一時的な混乱を招いたが、現在は下落が続いている。2024年7月の高値から約30％下落しており、米国港湾のストライキの脅威が軽減または延期されたことから、この傾向は今後も続くとみられる。

航空

• ウィーン空港はリチウム電池の取り扱いに関するIATA CEIV認証を取得し、増大するリチウム電池搭載デバイスの輸送需要に同空港が安全かつ効率的に対応できる姿勢を強調している。この認証は、トレーニング、プロセス管理、監査を通じて、高い安全性と品質基準を保証するものである。
• Air France-KLM（エールフランス-KLM）は、SAF（持続可能な航空燃料）の製造と供給に関してTotalEnergies社との新たなパートナーシップ契約を発表した。これにより、2025年から2035年まで、AFKLMグループの航空会社に150万トンのSAFが供給される。この契約内容は2022年に締結された契約が強化されたものであり、TotalEnergiesのSAFの供給量は大幅に増加する。

海上

• 海上、内陸水路、道路、鉄道でEUに貨物を輸入する経済事業者（Economic Operator）は、郵便・速達業者や物流業者を含めて、EUの輸入管理システム2（ICS2）に完全な事前搬入略式申告（ENS）データセットを提出しなければならない。これは、一定の条件下にあるEU域内の最終荷受人にも適用される。ENSのデータは、物品がEUに入国する前に税関のセキュリティと管理を確保する上で不可欠である。海上・内陸水路のHouse B/Lレベル申告を行う業者には、2024年12月4日からこのルールが適用される。

航空

• 国際航空運送協会（IATA）は、2024年8月に、中東の航空貨物市場が前年比で着実な伸びを見せており、同地域が戦略的なロジスティクス拠点としての地位を固めていると報告した。同地域は大陸横断貨物輸送に力を入れており、有償トンキロ（RTK）は5％、有効トンキロ（ATK）は5.9％とそれぞれ増加を示した。
• flydubai Cargoはcargo.oneと提携して、デジタル予約プラットフォームを通じたデジタル販売機能を開発した。これによりフレートフォワーダーは、flydubai Cargoの貨物予約機能（インターライン契約や他の航空会社との提携による優先インターラインルートも含まれる）にデジタルで即座にアクセスできるようになる。
• Saudua Cargoは、AIやIoTなど、新時代のテクノロジーを採用して航空貨物業務を強化し、オペレーション効率と持続可能性を推進することを改めて重点戦略として掲げている。同航空会社はUnilode Aviation Solutionsと提携し、E-AWB（航空貨物運送状）を導入し、ユニットロードデバイス（ULD）の96％をデジタル化することで、顧客のニーズに応え、柔軟なデジタルインフラを構築している。また、顧客の要望に応え、貨物業務の改善を目指して、Alibabaのロジスティクス部門であるCainiaoのほか、Worldwide Flight Services（WFS）とも提携した。

海上

• Cosco（中国の海運会社）とONEは、中東とインド亜大陸の主要港を結ぶサービスネットワークを強化すると発表した。同社は、アブダビ、ソハール、アジュマンを経由してアブダビに戻る航路を運航する新しい海上サービス、OUXサービスを開始する。1,000TEUのボックス船で毎週運航する予定である。シンガポールを拠点とするONEの定期船は、Global Feeder Shippingのコロンボ・中国港湾間を運航するサービスの航路枠を利用して、ムンドラ、ピパヴァヴ、マンガロール、コチ、コロンボ、カトゥパリ、ヴィシャカパトナム、コチ、マンガロールの各港を結ぶ運航業務を提供しているこのサービスはIndia Coastal Express（ICE）と名付けられ、1隻平均3,100TEUの船4隻で運航されている。
• フランスの海運会社CMA CGMは、特定の国向けの貨物を対象に重量超過課徴金（OWS）を課すことを発表した。対象となるのは、インド、スリランカ、中東湾岸、ジブチから、北欧（スカンジナビア、ポーランド、バルト海を含む）、東および西地中海、アドリア海、黒海、北アフリカ（モロッコを含む）向けの貨物で、20フィートドライコンテナの総重量が22トンを超える場合、1本につき100米ドルが課される。この追加料金は2024年10月1日から適用され、通知があるまで有効となる。
• 南アフリカの喜望峰付近の沿岸が冬の悪天候に見舞われ、南アフリカからスリランカのコロンボへ向けて航行中のMSCタラント号が、空のコンテナを5本紛失した。同地域は最近、気象パターンの予測が困難であり、それが海上航行に影響を及ぼし、南アフリカ海上安全局（SAMSA）は同地域を通過する船舶に航行警報を発令している。

陸上輸送

• アラブ首長国連邦（UAE）の国営鉄道事業者であるEtihad Railは、Global Rail主催のイベントにおいて、世界各地の輸送・インフラ・鉄道会社との間の10件の重要な覚書（MoU）に調印した。これらのMoUの目的は、Etihad Railの鉄道網を近代化してAI主導のソリューションを採り入れ、UAEの鉄道部門全体のイノベーションを促進することにある。Presight AI、RITES、韓国国鉄・KORAIL、日立レールが主な当事者である。
• UAEとオマーンを結ぶ「ハフィート鉄道プロジェクト」は、UAEの国営鉄道網とオマーンのソハール港を結ぶことを目的としており、首長国、オマーン、地方銀行、国際銀行から15億米ドルの資金を確保した。同鉄道プロジェクトは、2つの湾岸諸国間の貿易と物流を戦略的に強化するのが狙いである。
• Mahindra Logisticsは、「Go-East（東を目指せ）」戦略の下、インド東部と北東部での事業拡大を発表した。同社は、eコマースとFMCGセクターの成長見込みの高さを追い風に、約800のピンコードと100のピンコードにラストマイル配送を提供することを目指している。また、この成長に対応するために、倉庫の収容能力を1,900万平方フィートから3,000万平方フィートに増やす計画も立てている。

• 2024年10月9日、米国国土安全保障省 税関・国境取締局（CBP）はいくつかの品目の新しい分類を発表した。12月9日から、消費目的で入出国する品目に適用される。聴覚増幅装置が、補聴器（HTSUS 9021.40.00、無税）ではなく、その他のヘッドホンおよびイヤホン（HTSUS 8518.30.20、同じく無税）に再分類される。コーティングまたはラミネート加工された帯状の織物の幅が5mm未満の場合、人造繊維織物 （HTSUS 5903.90.2500、関税率 7.5％）ではなく、プラスチックコーティングされたその他の織物（HTSUS 5903.90.30、関税率 2.7％）に再分類される。ぬいぐるみ枕は、標準的な枕（HTSUS 9404.90.20、関税6％）ではなく、玩具（HTSUS 9503.00.00、無税）に分類される。
• 米国税関・国境警備局（CBP）は、マレーシアのBrightway Group（Brightway Holdings Sdh Bhd.、Laglove (M) Sdn.、Biopro (M) Sdn Bhd.を含む）が製造する使い捨て手袋の輸入制限を解除した。2021年12月、CBPは、Brightway Groupの労働条件が、国際労働機関（ILO）の11の指標のうち、10もの指標に該当することから、強制労働の可能性があるとの懸念を示し、同グループ製手袋の貨物引渡差し止め命令を出していた。これを受けて同社は製造工程内でこれらの問題に対処してきた。10月11日より、米国の法律を遵守している限り、Brightway Groupからの使い捨て手袋の輸入は許可される。
• 2024年10月1日より、中国製電気およびハイブリッド乗用車、トラック、バス、配達用バンを含む中国製EVは、中国追加関税令（2024年）および関税法第47条～第55条に従い、関税額の100％が追加関税として課される。追加関税の対象となる品目の完全なリストは、中国追加関税令（2024年）の別表1に記載されている。この追加関税は、中国で生産されカナダに輸入されるEVに現在適用されている6.1％の最恵国輸入関税に加えて適用される。カナダ国境サービス庁（CBSA）の命令施行に関する完全な詳細は、CBSA Customs Notice 24-32に掲載されている。