貨物輸送および物流のニュースと市場の最新情報

航空

• 10月1日に米国東海岸とメキシコ湾岸の港湾労働者がストライキに入り、労働争議が始まった。ストライキの期間が不明であるため、すでに積載能力の逼迫が見られる現況において荷送人は航空貨物への切り替えを検討している。1日に5〜10日分の貨物の積み残しが生じており、この状態が続けば、航空貨物が繁忙期を迎える時期に数週間から数か月に及ぶ混雑と遅延を引き起こす可能性がある。
• 米国東海岸とメキシコ湾岸の港湾ストライキが始まったことで、航空貨物への切り替えを検討している荷送人は船腹を確保するのに苦労することになりそうである。航空貨物市場は、APACのハブ空港からのeコマース貨物の急成長を背景に、8か月にわたり2桁の需要増を記録している。多忙なホリデーシーズンを前にeコマース貨物の需要が高まり、年間で航空貨物輸送が最も忙しい時期にこのストライキは始まった。需要の伸びが積載能力を上回るという不均衡が続いているため航空運賃は右肩上がりで、最近のAPAC-米国間の運賃は前年同期比で30％増となっている。
• ハリケーン「ヘレン」は、フロリダ、ジョージア、テネシー、カロライナの5州を中心に甚大な被害をもたらし、暴風雨が通過したこれらの州の空港では何百ものフライトの発着がキャンセルされた。10月1日より情勢は正常化に向かうと予想されているが、アッシュビル、シャーロット、アトランタなど一部の地域では依然として多大な影響が見られる。

海上

• 国際港湾労働者協会（ILA）が代表を務める港湾労働者はストライキを開始し、テキサス州から東海岸までの主要コンテナ港に影響を与えている。ILAと米国海事同盟（USMX）の間で、労働者に給付される賃金条件や手当に関する意見の相違が早急に解消される見込みはなく、数週間から数カ月にわたる遅延や混乱が続くことになりそうである。バイデン政権はタフト・ハートレー法（労働争議を制限し、両者間の誠意ある交渉を求める法）を課さないと見られている。

陸上輸送

• ACT Research（コンサル会社）の「For-Hire Trucking Index」によると、貨物量の増加とトラックの積載能力の低下が報告されている。このデータには、商品需要の増加と在庫の事前準備の両方が反映されており、第2四半期の耐久財消費は前四半期比4.2%増となり、輸入品、在庫品、クロスボーダー貨物が増加している。しかし、このレポートには米国東海岸の港湾ストライキに備えて荷送人が事前に準備を進めたことが影響している。

航空

• United Airlines（ユナイテッド航空）は2024年10月より、メキシコ（モンテレイ）とアメリカ（サンフランシスコ）間の連結を拡大し、この直行路線を1日2便運航する初めての航空会社となる。サンフランシスコ経由でヌエボ・レオンとアジア/オーストラリアを結ぶ路線のサービス向上を目標に掲げている。
• KLMオランダ航空は、155の都市に運航する冬季スケジュール（2024年10月27日～2025年3月30日）を発表した。メキシコからアルゼンチン、ブラジル、チリ、パナマへの19の都市をはじめとするラテンアメリカの都市が、今シーズンの積載量の恩恵を受けることになる。

海上

• CMA CGMは、ブラジルの大手ターミナルオペレーター、Santos Brazilの48％の株式の取得を進めている。同社の最大の資産はサンパウロにあるTecon Santosターミナルであり、株式取得に成功すれば、ブラジルにおけるCMA CGMの地位は強化されるであろう。

航空

• 航空貨物の繁忙期が幕を開けようとしている。アジア太平洋地域（APAC）の多数のハブからのeコマース貨物量が2024年を通して増え続けており、積載能力が追いつかず、この地域を出発するほとんどの主要路線の運賃が上昇している。今後数週間は中国のゴールデンウィークで中国全土の工場が閉鎖されるため、さらなる影響が予想される。
• 人工知能（AI）によるイノベーションを目指してベトナムでの投資を拡大するMetaは、同国での拠点を拡げており、最新の複合現実（MR）デバイス「Quest 3S」の生産を2025年からベトナムで拡大することもこれに含まれている。
• 香港を拠点とするCathy Pacific（キャセイパシフィック航空）は、アメリカでの事業拡大計画の一環として、香港のハブ空港とダラス・フォートワース空港を結ぶ直行便を就航すると発表した。米国で6都市目のこの新た仕向地により、北米では8都市へ運航することになる。現在の北米路線は、ボストン、シカゴ、ロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコに週88便を運航している。

海上

• ST Engineering（シンガポールの総合工学企業）がシンガポールに開設した「スマートヤード」、通称Gul Yardは、今年末にはTuas Yardに代わるヤードとなる。Gul Yardの規模はTuas Yardの2倍で、操業、職場の安全、環境に優しい慣行をサポートする技術を装備しており、規模が拡大されたおかげで、より大規模かつ複雑なプロジェクトを短期間で効率よく処理できるようになる。

航空

• スキポール空港の貨物コミュニティは、犯罪削減と貨物処理の改善を目的として新たに導入されるSecure Import（安全輸入）システムのテストを実施している。デジタルプラットフォームと、輸入業者やフォワーダー向けの新しい枠組みを組み合わせたこのシステムにより機密情報へのアクセスを制限し、セキュリティを強化し、プロセス管理を改善する。今月いっぱいテストされた後、問題がなければ空港に導入される。Secure Importは、航空貨物輸送に伴う犯罪行為の増加に対して、安全かつ効率的な取り扱いを保証するために開発されたシステムである。
• APAC・欧州間貿易レーンにおけるeコマース貨物の需要増加と運賃の上昇を優位に活用するために、IAG Cargoはアジア太平洋（APAC）地域の輸送能力を追加している。タイ、マレーシア、日本へのフライトも追加された。急増するeコマース貨物に加え、自動車業界やハイテク業界にもサービスを提供することを検討している。

航空

• Qatar Airways Cargoは、温度管理が必要な貨物向けの一連の新しいサービス（Q-Climate、Q-Plus、Q-Prime）を発表した。Q-Climateソリューションは、一般貨物や傷みやすい貨物の温度管理を提供し、Q-Plusは、時間的制約がある貨物を、出発確定便または次に利用可能なフライトに優先的に搭載して優先的に取り扱う。Q-Primeは緊急貨物を優先的に取り扱い搭載し、出荷が未確定の場合はマネーバック・ギャランティを提供する。
• Etihad CargoとSF Airlines（順豊航空）は、統合ロジスティクスソリューションを航空会社の顧客に提供するためにパートナーシップの拡大を発表した。この新たなパートナーシップにより、航空機の船腹量が増加し、所要時間が短縮され、2つの航空会社間にシームレスな相互接続ネットワークが形成され、複数の仕向地を結ぶフライトの運航頻度も上がる。
• WorldACD Market Dataによると、世界の航空貨物トン数は9月16日から9月22日の間に3％減少した。9月の季節的なトン数減少は、中東およびアジア発貨物の運賃が上昇したためである。運賃の上昇は、eコマース企業の需要増や中東の地政学的緊張の高まりにもよる。

海上

• ドイツの大手コンテナ船会社であるHapag Lloydは、インド亜大陸と中東から米国東海岸とメキシコ湾岸に輸送する貨物の海上運賃一括値上げ（GRI）を発表した。20フィートと40フィートのドライコンテナ、リーファーコンテナ、特殊コンテナ、HCコンテナを使用して輸送される貨物には、1,000米ドルのGRIが適用される。繁忙期を考慮して海運業者はすでにGRIを導入し始めており、港湾の混雑やコンテナ調達のもたつきの一因となっている。
• インドは、新たに開設した積み替え港を効率よく結ぶ大規模なロジスティクスインフラネットワークプロジェクトを発表した。ヴィジンジャム地域の600エーカーに広がるこのプロジェクトにより、積み替え港への連結性が高まることになる。さらに同州政府は、土地取得に向けて先ごろ策定されたロジスティクスパーク政策を承認した。

陸上輸送

• Emirates Logisticsは世界的なソフトウェアソリューションプロバイダーであるFreteriumとの提携を発表した。これは、中東6か国の湾岸協力会議（GCC）、アフリカ、アジア地域における輸送業務の最適化と変革を狙いとして、デジタル輸送管理プラットフォームを開発し業務に統合するためのパートナーシップである。
• AramexとRand McNallyは提携して、Aramexに必要な高度なテレマティクス（移動体通信システムを利用した情報管理）ソフトウェア用のハードウェアと、テレマティクスに特化した新たなデジタルプラットフォームを提供し、中東と北アフリカ（MENA）地域の業務に対応する予定である。さらに、車両性能の最適化、燃料コストの削減、ドライバーの行動監視にも焦点を置いている。

• 9月25日、カナダ政府のStanding Committee on International Trade（CIIT、国際貿易常設委員会）は、CBSAの評価・収益管理（CARM）システムの導入を2025年4月まで延期することを提案した。これは、10月21日の導入に向けた準備状況について貿易界から懸念が示されているためである。公聴会では、Canadian Association of Importers and Exporters（カナダ輸出入業者協会）のキム・キャンベル氏、Fedaral Express Canadaのレナート・ジャルバート氏、UPS Canadaのタミー・ビロドー氏ら業界の代表者が、システムの導入まで3週間を切っているにもかかわらず、輸出入業者は十分な準備ができていないと主張した。
• Canadian Union of Public Employees（カナダ公務員組合、CUPE）のLocal 375は、モントリオール港の2つの貨物ターミナルで9月30日午前7時（東部時間）から木曜日の午前 6:50までストライキを実施すると発表した。このストライキの影響を受けるのは、Termont Montréalの各ターミナルである。ストライキに備えて、9月29日から10月1日までTermontとVIAUのターミナルへの鉄道輸出貨物の受け入れを停止した。CUPEは年初以来、Maritime Employers’ Association（海事雇用者協会、MEA）との労働協約を巡る交渉が進展していないことに不満を表明している。