貨物輸送および物流のニュースと市場の最新情報

航空

• 世界の航空貨物市場は堅調を維持しており、2024年7月には8か月連続で2桁の成長を記録した。さらに今年7月の運賃は2023年7月より20％も上昇したが、これはeコマースと家電製品部門の繁忙期の延長を見込んでアジアのeコマース需要に積載能力が追いつかないと予想されているためである。
• 労使交渉が行き詰まり、両者の隔たりは依然として大きいと組合長が示唆したことから、ボーイング社の工場労働者はストライキに突入する可能性が出てきている。現行の労働協約は9月12日に期限切れを迎えるため、新たな合意に達しない場合はストライキに発展し、ボーイング737-MAX型機の生産に支障が出る可能性がある。ボーイング社は、双方にとって公平な新協約を確保するために努力することを表明している。
• Atlas Air（アトラス航空）は、太平洋を横断するeコマースの需要拡大の波に乗るために、輸送網、機材、オペレーション能力の拡大に投資している。同社は現在、アジア太平洋地域からのeコマース取扱量をより適切に管理するために、アラスカに貨物専用のオペレーション拠点を設立する交渉を進めている。さらに同社は、最近リースした747-8型貨物機3機を加えた計11機の新しい航空機を投入し、フリートを拡大する予定。

海上

• 最も忙しい時期を迎えたロサンゼルス・ロングビーチ港湾複合施設では、鉄道コンテナの滞留時間がほぼ2倍となり、一部のターミナルでは平均滞留時間が9日を超えていると報告されている。太平洋商船協会（PMSA）によると、長期遅延を余儀なくされる鉄道コンテナが増加しており、7月には約28％もの鉄道コンテナが9日以上滞留したと指摘している。港湾当局者は、季節的な輸入急増、東海岸とメキシコ湾岸での混乱の可能性、他の地域で長引く鉄道混雑の問題により、これらの遅延が悪化する可能性があることを懸念している。
• ロサンゼルス・ロングビーチ港湾複合施設の一部ターミナルでは、繁忙期が近づくにつれ、鉄道コンテナの滞留時間がほぼ2倍になった。ロサンゼルス港のウェブサイトでは、滞留時間は6月から7月にかけて1日増加し、約28％の鉄道コンテナが9日以上滞留していることを太平洋商船協会（PMSA）が発表している。

航空

• 世界の航空貨物需要は7月も堅調に推移し、前年同期比13.6％増となった。ラテンアメリカでは、需要が前年同月比11.1％増、同地域の貨物取扱量は同9.4％増となり、世界的傾向をわずかに下回ってはいるものの、好調な市場を反映している。
• Delta Airlines（デルタ航空）は、消費者需要の減少を理由にニューヨークJFK空港とボゴタを結ぶ路線を廃止すると発表した。サービスは10月下旬まで続けられ、その後はアトランタのハブ空港を経由してコロンビアの首都へのフライトを継続運航する。

海上

• 一度の取引で複数予約が可能な新しいパナマ運河予約システムの開始が、9月1日から10月1日に延期された。
• ブラジルのヴィラコッポス空港は、航空、海上、道路のロジスティクスを組み合わせたマルチモーダル（複合一貫）貨物輸送のための新たな海上航空プログラムを開始した。ブラジル初のハブとして、海上輸送からブラジル全土への航空輸送を行う貨物混載サービスを提供する。
• 最大積載量17,640TEUを誇るMSC Marieが、パナマ運河を通過する最大貨物船として新記録を樹立した。これは、Evergreenの貨物船Ever Maxが保持していたこれまでの記録を300TEU以上上回るものである。同地域の水位は改善しつつあり、干ばつによる制限がまだ残ってはいるが、運河の操業は通常のレベルに戻りつつある。

航空

• 太平洋を横断する航空貨物の運賃は、7月に若干の落ち込みがあったものの8月に大幅な伸びを示し、昨年同月と比較して香港発北米向けの貨物運賃は約23％、欧州向け貨物運賃は21％以上上昇した。eコマースの荷送人によるAPACのハブからの出荷貨物の輸送量が引き続き順調であることに加え、中東の地政学的不安定性や労働ストライキの可能性を踏まえると、第4四半期が近づくにつれて運賃は高止まりすると予想される。
• Cathay Pacific（キャセイパシフィック航空）は、香港出発時にエンジン問題が見つかったA350型機を複数を欠航させ、その影響は同社の複数のA350型機に及んでいる。この問題は同社所有のA350型機の約3分の1にあたる48機に影響を及ぼしていることが判明し、週末に修理体制が整うまで運航を停止する予定である。現在、他の航空会社から同様の問題は報告されていない。Cathay Pacificは航空機の安全を確保するために問題を調査している。

海上

• 東アジアの港と中東を結ぶ新しい3つのサービス、GLX（Gulf Asia Liner Express）、CMX（Central China Middle East Express）、SMX（South China Middle East Express）により、この貨物路線の輸送頻度が高まると予想される。

航空

• Lufthansa（ルフトハンザ航空）は、中東紛争の激化により8月に運航を停止していたテルアビブ便を今週再開すると発表した。テルアビブ便は再開されるが、ベイルート便は引き続き運休しており、少なくとも9月末までは再開されない見込みである。
• 大西洋横断航路では繁忙する夏季旅行シーズンが終わり、アジア・ヨーロッパ路線に船腹量が移行することから、大西洋横断路線の貨物取扱量が減少することが予想される。船腹量が減少し、需要が安定しているため、特に第4四半期の繁忙期が近づくにつれて今後数か月の間に運賃が上昇する可能性がある。
• 空爆を受けたイスラエルのベングリオン空港は、9月7日の午前 8:00より全便の発着陸を閉鎖すると発表した。この閉鎖により、すでに緊迫状態にある航空路にさらなる遅延と混雑が生じることが予想される。

海上

• アジア・欧州航路の海上貨物輸送の繁忙期は、需要と運賃が2024年初頭の高水準から下がり始めており、終息の兆しが見受けられる。9月は予約が10％の減少を見せている。ただし、第4四半期には好調に向かう見通しであることが報道されている。

航空

• Xeneta（貨物輸送の市場分析プラットフォームを運営する企業）によると、バングラデシュの航空貨物運賃は、広域に及ぶ抗議デモの影響を受けてサプライチェーンの混乱が続いているため、8月も高止まりしていると報じている。航空貨物運賃は、8月25日に終わる週は前年比163％に急騰し、欧州向け運賃はキログラムあたり4.77米ドル、北米向け運賃は6.91米ドルに達した。
• Qatar Airways（カタール航空）は、アフリカでの事業拡大戦略の一環として南アフリカの航空会社Airlink（エアリンク）の株式25％を取得した。この買収により、コードシェア協定の拡大など両航空会社の提携関係が強化され、同地域でのQatar Airwaysの成長意欲が高まるであろう。Airlinkの貨物輸送網は、現在南アフリカ全土の40の仕向地を結んでいる。
• Saudia Cargo（サウディア・カーゴ）は、成長目覚ましい中国の航空貨物市場で存在感を強化し、新たなロジスティクスソリューションを開発するために、「24時間で中国に上陸」キャンペーンを開始した。これは、輸出を促進するというサウジアラビアの「ビジョン2023」の目標に沿った取り組みであり、サウジアラビア製品を世界的に宣伝することを目的とする「メイドイン・サウジ」プログラムと密接に結びついている。

海上

• Adani Ports（インドの港湾＆ロジスティクス会社）は、シンガポールを拠点とするオフショア支援船（SOV）サプライヤーのAstroを現金1億8,500万ドルで買収すると発表した。海外での成長機会を拡大・獲得する戦略の一環であるこの買収により、Adani Portsのフリートに142隻のタグボートと浚渫船が追加され、主要顧客へのサービス提供能力が強化される。
• インドのナレンドラ・モディ首相は、8月30日にムンバイ近郊のパルガルにあるヴァダヴァン深水港の起工式を行った。JNPTの3倍の広さを有する新港により、同国のコンテナ取扱量は2億9,800万トンに倍増すると予想されている。総工費7,622億インドルピーと見積もられるこのプロジェクトは、主要な国際航路への直接アクセスを実現することになる。
• アブダビのAD Portsは、進行中の事業拡大の一環として、エジプトの海運サービス会社Safinaの株式を取得した。Safinaは、金属、鉱物、肥料セクターの荷送人向けの代理サービスと海上ロジスティクスを専門とする会社である。

陸上輸送

• A.P. Moller Maerskは、サウジ港湾局（マワニ）と提携し、サウジアラビアのジッダに中東最大の最新鋭のロジスティクスパークを開設した。総面積225,000平方メートルのこの施設は、総合的なロジスティクスソリューションを提供することでサウジアラビアのロジスティクス能力を強化して経済成長を支援することを目的とし、サウジアラビア製品の輸出の促進と、国際貿易のネットワークを強化するものである。
• ドバイのジェベル・アリ港は、7月にコンテナ取扱量が前年同月比3.9％増となる140万TEUを記録し、新たなマイルストーンを達成した。この急増は主に中国、韓国、日本などアジアの主要市場からの貨物輸送量の増加によるもので、成長するドバイ経済を支える上で同港が果たしている中枢的な役割を反映している。
• 世界的なロジスティクスプロバイダーのAramexは、アラブ首長国連邦（UAE）で定められた品質と貨物に関する一般流通基準（GDP）の認証を取得した。Aramexの医療および医薬品の輸送管理能力を裏付けるこの認証により、国際品質基準への準拠が保証され、UAEのヘルスケアロジスティクス部門における地位も強化されたことになる。

• 関税調整・還付リクエスト（Single B2 adjustment、Blanket B2 adjustments）または自発開示要求を9月1日以降にカナダ国境サービス庁に提出した場合、処理が遅れる可能性がある。遅延を避けるには、輸入者は9月1日から2024年10月20日の期間中にリクエストの提出を控えるべきであり、代わりにCARMのCommercial Accounting Declaration（CAD）に対してリクエストを提出することができる。詳細はCBSAの税関通知24-25を参照のこと。
• カナダ政府は2024年10月15日より、関税法第53条に基づき中国からの鉄鋼およびアルミニウム輸入品に対して25％の追加税を課す予定である。ただし、発効当日にカナダへ輸送中の貨物は徴収の対象外となる。  影響を受ける製品の最終リストは2024年10月1日までに公開される予定。この鉄鋼・アルミニウムに対する追加税は施行後1年以内に見直し、必要に応じて延長または拡大する可能性がある。
• 追加税に関する相談は、2024年9月20日までメール（tariff-tarif@fin.gc.ca）で受け付けている（件名に「鉄鋼・アルミニウムの追加税」と記入のこと）。または通商政策課（鉄鋼・アルミニウムの追加税担当）に問い合わせることも可能。提出された全コメントの詳細は、中国の鉄鋼とアルミニウムに対する追加税（Canada.ca）をご覧ください。
• 2024年10月1日以降、電気自動車やハイブリッド乗用車、トラック、バス、配達用バンなど、カナダに輸入されるすべての中国製EVに100％の追加税が適用される。影響を受ける輸入品は、中国製電気自動車に対する追加税（Canada.ca）に記載されている。輸入業者はカナダの関税に関するページで詳細な説明を参照するよう推奨されている。
• FDA（アメリカ食品医薬品局）は、輸入された電子ニコチン送達システム（ENDS）タバコ製品の入国時に、電子申請システム（Automated Commercial Environment、ACE）で追跡番号を提供することを義務付ける規則を提案している。この要件により手動審査の必要性が最小限に抑えられ、輸入審査プロセスの効率が上がるとFDAでは期待している。この自動化システムで提出追跡番号を内部データベースの記録と照合し、「続行可能」メッセージを発行できるかどうかを判断できると説明しているが、自動承認されたからといってこれらの製品がFDAの全規制に準拠していることにはならず、今後のFDAの規制措置を免れることにもならない。コメントの受付は10月15日まで可能である。
• バイデン政権は、中国からの輸入品に対する第301条関税の適用除外の実施をさらに遅らせることを示唆した。米国通商代表部（USTR）は、関税率表（HTSUS）の84類と85類に基づく特定の機械の適用除外について一般からの意見を集め、除外の要請に必要な情報を概説した。後日の通知で詳細が追加されたが、2022年3月以降に輸入された物品に対する遡及的な適用除外の計画はまだ立っていない。影響を受ける企業はUSTRにコメントを提出することを検討するべきである。承認されればUSTRは適用除外要請のための新ポータルを開設し、異議申し立てや反論ができるようになる。