貨物輸送および物流のニュースと市場の最新情報

航空

• ドナルド・トランプ氏の大統領選勝利を受けて、企業は中国からの輸入品に課される高関税を想定し、サプライチェーンの調整を図っている。高関税の影響を軽減するために、中国から他のアジア諸国に生産拠点を移すか、アメリカ大陸にニアショアリングする動きが盛んに見られる。具体的な政策を待つ企業もあれば、RivianやYetiのように、コスト増加の可能性を見越して代替のサプライヤーや代替拠点を積極的に確保しようとしている企業もある。
• 繁忙期を迎え、中国発米国・欧州行き航空貨物の運賃は今年最高水準に達している。米国の関税基準が変更された場合、中国製品の輸入に影響を及ぼす可能性があり、大西洋横断路線は冬季スケジュールにより輸送能力が制限されるため、運賃がさらに上昇する可能性がある。
• eコマースは2024年に航空貨物需要を10％押し上げ、特に中国路線では、高水準の積載率と料金の安定につながっている。航空貨物の総トン数は2019年から5％増加したが、eコマース以外の需要はパンデミック前のレベルを下回っている。

海上

• 米国の小売業者は、11月と2024年12月の輸入が昨年より35万TEU多くなると見込んでいる。これは、ILAによるさらなる労働争議に備え、ドナルド・トランプ次期大統領が提案する関税引き上げ案に直接関連するコストを回避するための動きである。わずか1ヵ月で、11月の米国輸入TEU予測は前年同月比0.9％増から13.6％増に、12月は同0.2％増から6.1％増に増加した。
• Maerskの最高経営責任者（CEO）は、紅海はフーシ派の攻撃による安全保障上のリスクがあることから、同社の船舶は2025年までスエズ運河を避けてアフリカ周りに迂回させると発表した。これにより運賃が上昇し、港湾の混雑の一因ともなったが、アジアからの輸出に牽引され、需要は旺盛である。
• Compact Container Systems（CCS）のSeaFold 40'は、5つの空のコンテナを1つのスペースに収納する折り畳み式コンテナ設計で、再配置コストを56％削減し、保管スペースを80％節約し、二酸化炭素排出量を70％削減する。ISO認証を取得し、標準港湾設備に対応できるため、ロジスティクス全体の効率が向上し、特に繁忙期の混雑が緩和される。
• カナダのモントリオールとブリティッシュ・コロンビアにある主要港湾で、賃金紛争、労働条件、自動化を巡ってロックアウトが発生し、1日あたり12億ドルの輸出入品の取扱が停止している。この混乱はカナダ全国の産業に影響を及ぼしており、必須のサプライチェーンを再開するために政府の介入を求める声が高まっている。

陸上輸送

• US Bankは、貨物量と指標が前年同期比21％減少したと報告した。報告書によると、トラック輸送市場の回復には楽観的な兆しが見えるが、回復は依然として遅く、貨物輸送と支出には課題が残るという。過去2四半期にわたって貨物取扱量と支出は縮小しているにもかかわらず、US Bankの主要アナリストは市場底打ちの明確な証拠を求めている。

航空

• ブラジルのグアルーリョス空港の混雑が輸出入の遅れを引き起こしているとして、外資系企業が警告を発している。
• 9月のラテンアメリカの航空貨物需要は前年同期比20.9%増加し、取扱量は同7.9%増加した。
• Viva Aerobus（メキシコの航空会社）は、メキシコ・シティ（CDMX）からマタモロスへの路線を就航し、両地点間の連結性を強化した。

海上

• ホンジュラスにおける航空・海上貨物の輸送量は、この3か月で大幅に増加し、少なくとも18億レンピラ（ホンジュラスの通貨）の増加が見込まれている。
• ペルーのリマ近郊にあるチャンカイ港ターミナルは、中國遠洋海運集團有限公司（COSCO Shipping Ports）が開発を手がけている。この深水港は1万4000TEU規模の船舶を収容し、将来は2万4000TEUまで拡張する計画だ。稼働を開始すれば中国までの輸送日数が35〜40日からわずか23日に短縮されることになる同ターミナルは、南米の重要な中継拠点となることを目指している。

航空

• 世界の航空貨物の運賃は10月18日から11月3日にかけて2％上昇し、1kgあたり2.71米ドルに達し、前年同期比で12％上昇した。アジア太平洋と欧州では、堅調な需要と積載能力の減少により大幅な運賃上昇が見られた。中国-欧州、中国-米国などの主要路線は運賃が大幅に上昇したが、バングラデシュ発路線の運賃は上昇し、スリランカ発路線は貨物量の減少とともに下落した。

海上

• トランプ大統領の再選により、特に中国からの輸入品を対象とする関税案が実現されるとサプライチェーンが混乱し、航空貨物の運賃が上昇する可能性がある。大統領就任前に出荷の前倒しを検討する輸入業者もあり、運賃への圧力が高まっている。こうした貿易摩擦の再燃は報復関税につながり、サプライチェーンの問題を悪化させるおそれもある。
• 中国の10月の輸出は、出荷の遅れ、値引き、ホリデー需要による予想を上回り、12.7%増と過去19か月で最速の成長を遂げた。輸入は、米国やEUとの貿易摩擦が影響して2.3%の減少となった。これを受けて、中国は内需を支援するための景気刺激策を導入した。
• 台風21号（コンレイ）は、東シナ海を航行中の船舶に深刻な遅延をもたらしている。前回の暴風雨によりアジア欧州航路が悪化し、台湾と中国の港湾が混雑した後ではなおさらである。Ocean Network Express（ONE）などの運送業者は、輸送所要時間の延長に直面している。積み残し解消に向けての取り組みは続いているが、スケジュールと運賃には依然とて影響が残っている。

航空

• 洪水により深刻な混乱に見舞われたバレンシア空港は、滑走路が水没し、乗客は徒歩で空港までの移動を余儀なくされた。空港周辺の道路事情により貨物の搬入や搬出が困難になる可能性があり、貨物輸送の混乱や遅延は今後も続く可能性がある。

陸上輸送

• 洪水によりバレンシアの列車の運行も大幅に乱れているため、安全上の理由からADIFは同地域のすべての鉄道サービスを停止している。バレンシア、マドリッド、アリカンテを結ぶ高速鉄道も少なくとも日曜日まで運休する。バレンシア周辺の道路は依然として冠水しており、自動車、バス、長距離バスの移動に影響が出ている。旅行者は出発前に路線と予約を確認することをお勧めする。

航空

• アラブ首長国連邦（UAE）のウム・アル・クウェイン市は、グローバルロジスティクスシティと貨物専用空港を設立し、UAEにおける連結性を向上させ、主要物流拠点としての地位を確立すると発表した。新しいロジスティクスシティはさまざまな輸送手段を活用して各地を結び、経済成長を促進する。グローバル企業からのさらなる投資拡大により、同地域に新たなビジネスチャンスが生まれるだろう。
• Saudia Cargoは、ナイロビでのグランドハンドリングサービス（地上支援業務）の管理でSwissportと提携し、操業能力の拡大を図る。Swissportと戦略的標準グランドハンドリング契約（SGHA）を締結し、Swissportはナイロビのジョモ・ケニヤッタ国際空港でSaudia Cargoのグランドハンドリングおよび貨物ハンドリングサービスを管理する。この提携により輸送所要時間がさらに短縮され、Saudia Cargoの地上業務が改善されるであろう。
• アフリカの主要な航空貨物プロバイダーの1社であるEgyptAirは、ULD管理を最適化するためにUnilode Aviation Solutionsとの提携を発表した。このパートナーシップにより、UnilodeはEgyptAirのULDプロセス管理をモダナイズするためのデジタルソリューションを提供するほか、e-ULDアプリとデジタルダッシュボードを開発し、業務の可視性を高める。

海上

• サウジ港湾局（Mawani）は、GRCと呼ばれる新しい海運サービスの開始を報告した。新サービスはEmirates Shipping Line社が運営し、サウジアラビアのジッダ・イスラム港と、UAEのジェベル・アリ港、ヨルダンのアカバ港、エジプトのソクナ港などの主要港を結ぶ。各地の取扱量はそれぞれ2,550TEUSである。顧客の需要に応え、サウジアラビアの物流事情を変革すると期待されている。
• エジプトのバドル・アブデル・アーティ外相は、バブ・アル・マンデブ海峡と南紅海を通過する船舶をフーシ派が攻撃し、エジプトに約60億米ドルの損失が生じたと報告した。フーシ派の反政府勢力による攻撃が続いており、紅海の国際海運に影響を及ぼし、船舶の迂回や所要時間の長期化を招いている。
• 公共投資基金（PIF）が支援するサウジアラビアの定期船会社、Folk Maritimeは、サウジアラビアのダンマーム港と、インドのナーヴァ・シェヴァ港やムンドラ港、イラクのウムカスル港などの主要港を結ぶ新しいインド湾航路を開始した。この新サービスの開始により、主要港間の連結性が向上し、顧客の需要に応じられることを期待している。

陸上輸送

• UAE副大統領、首相兼ドバイ国王であるシェイク・モハメッド・ビン・ラシッド・アル・マクトゥーム氏は、ドバイの道路インフラを変革する5か年の道路拡張計画を承認した。12の住宅地、商業地、工業地における21のプロジェクトで構成されるこの計画は、道路交通局（RTA）が管理し、推定費用は10億米ドル（37億ディルハム）。ドバイ市街地の人口増を支え、都市部の持続可能な開発を促進するためのインフラ整備に対するドバイの広範な熱意に乗じたものである。
• リヤド、ダンマーム、ジェッダに20万平方メートルのグレードAロジスティクス施設を設置するために、Gulf Warehousing Company（GWC）とGFH Financial Group（GFH）が提携した。同施設の資金調達と開発はGFHが担う。この戦略的提携により、GWCはサウジアラビア全土の顧客に効率的なロジスティクスサービスを提供することになる。
• シンガポールを拠点としてコンテナ定期船を運航するOcean Network Express（ONE）は、バーレーンで新たな内陸輸送サービスの開始を発表した。バーレーンのターミナルとバーレーン市内を結び、効率的な貨物輸送により顧客を支援する新なる。

• 米国国土安全保障省 税関・国境取締局（CBP）は、米国に搬入される貨物の説明要件を更新した。2024年11月12日より、航空貨物事前審査（ACAS）の品物の説明が曖昧な場合、その貨物は原産地で留め置かれる可能性がある。正確かつ具体的な説明が必須となる。詳しいガイダンスは、CBPDのウェブサイトにある許容できる説明と許容できない説明に関するガイドを参照のこと。
• 12月1日より、米国農務省（USDA）動植物検疫局（APHIS）は、レイシー法の第VIIフェーズを実施し、植物または木材成分の申告が必要な製品リストを拡大する。このリストには、エッセンシャルオイル、履物、車両、医療器具など幅広い品目が含まれる。これらの製品にも、使用されている植物や木材の原産国と属/種に関する情報を記載しなければならなくなった。また第VIIフェーズでは、新しい関税コードに「AL1」フラグが導入される。 
• 世界税関機構（WCO）の統一システム（Harmonized System、HS）に関する報告書では、eコマースの増加や持続可能性への要求といった課題に対処するために更新が必要であると指摘されている。税関分類には現在も有効であるが、報告書では明確性、アクセシビリティ、一貫性の改善が提案され、HSを8桁に拡張する、より詳細なデータを含めるための新たな枠組みを作るなどのアイデアが盛り込まれている。
• 米国消費者製品安全委員会（Consumer Product Safety Commission、CPSC）は、乳幼児用サポートクッションの必須安全基準を定める最終規則を発表した。2025年5月4日より発効する。リクライニング中の乳幼児を支えるために設計されたこれらのクッションには、ヘッドポジショナー、ベビーラウンジャー、横揺れ防止枕などの製品がある。この規則では、簡単に平らになる、または乳児の体にフィットするために安全でない乳児用クッションを禁止する項目も維持されている。新しい規制では、乳児用サポートクッションは製品登録と認証の要件を満たすことを義務付けている。