貨物輸送および物流のニュースと市場の最新情報

航空

• ロジスティクスの専門家は、航空貨物のクロスボーダー境輸送の繁忙期は2025年第1四半期まで続くと予測している。歴史的に見れば、年末商戦が済むと小売業界は売上が減少する時期に入るが、近年の製造購買担当社景気指数（Purchasing Manufacturing Index、PMI）は、製造業の世界的鈍化を示しており、需要減退と再度の在庫調整に対する懸念が高まっているが、航空貨物については、インフレの抑制により、大半の地域と主要経済圏が景気後退を免れていることから、経済的要因は現在もある程度良好な状況にある。
• Lufthansa Cargoは、太平洋横断輸送網の拡大を目指して、ベトナムからロサンゼルスへの貨物直行便を導入した。これは、ベトナムその他のAPACのハブ拠点からのeコマース貨物の需要増加を追い風に、APACの輸出市場における貨物輸送能力の増加を目的とした輸送業者ネットワークの拡大の一環である。
• アラスカのテッド・スティーブンス・アンカレッジ国際空港（ANC）は、5社の貨物航空会社がANCを中継ハブ空港として就航することを発表した。新たに加わった5社は、オーサム・カーゴ航空、セントラル航空、ASL、エアロロジック、CMA CGMで、中国、香港、韓国を含むAPAC各地のハブ空港から北米の各仕向地に運航する。

海上

• 2025年2月、Zim（イスラエルを拠点とする船会社）は大西洋横断路線を再編し、週2便を追加する。地中海とカナダおよびアメリカ東海岸を結ぶ路線と、ジャマイカのキングストンを経由して中南米とカリブ海を結ぶ路線が追加される。再編の目的は、増大する需要に応えながら信頼性と効率を高めることにある。
• 2025年2月より、ONE（Ocean Network Express）は、EC2サービスにジャクソンビルを加え、アジアの主要港との直接航路を確立する。JAXPORTは水路の深化やターミナルの取扱量拡大などの改良が進められ、米国南東部の主要なロジスティクスハブとしての地位を高めている。
• モントリオール港湾労働者組合は、賃金とスケジュール問題の交渉のために今週木曜日から部分的ストライキに入る。これによりホリデーシーズン中に遅延が生じる可能性がある。カナダの独立企業連盟（Canadian Federation of Independent Businesses、CFIB）は、港湾の操業維持のために同政府の介入を求めている。

航空

• United Airlines（ユナイテッド航空）は、10月末よりヒューストン（IAH）からサンティアゴ（SCL）への毎日運航を再開する。この路線は、南半球の夏季が近づくにつれて南米旅行への需要増に応えることを目的としている。
• LATAM（ラタム航空）は、ボーイング787-9型機10機と、オプションで5機のジェット機を新規発注することを発表した。この増便により、LATAMグループの南米子会社の787型機保有機数は、2029年末までに52機になる。

海上

• 国際紛争やパナマ運河の干ばつなどの気候変動による混乱により、今年の海上貿易の伸びは緩やかで、先行きも不透明だと国連は予測している。
• MSC（Mediterranean Shipping Company）は、ブラジルのWilson Sons（ブラジルの海運会社）の買収を発表した。港湾・海上物流の大手事業者であるWilson Sonsは、MSCのブラジルと周辺地域での存在感の強化に貢献することになる。この契約は2025年後半に完了する予定。

航空

• APAC地域を発地とする航空貨物は、通常の繁忙期中も引き続き堅調である。世界の製造業PMI（購買担当者景気指数）は9月に初めて前年の水準を下回ったが、引き続き堅調なeコマース取引量と新製品の発売によりカーゴスペースは逼迫しており、APACから北米・欧州への航路の運賃は上昇した。
• 香港を拠点とするCathay Pacific（キャセイパシフィック航空）は、これから到来する繁忙期の好調を予測して、9月の貨物トン数を2023年より7％増加させると発表した。香港国際空港も、9月に前年同月比＋10.2％の伸びを示している。香港と欧州、東南アジア、中東を結ぶ路線の貨物輸送は、世界で最も貨物取扱量の多いこの空港の継続的な成長に貢献している。

海上

• アジア域内航路の運賃は、ブランクセーリング、中国のゴールデンウィーク休暇明けの需要増、台風による混雑のため、近ごろ急騰している。中国・インド間などの主要路線の運賃は9月上旬から3倍に上昇した。CMA CGMやMaerskなどの大手海運会社はこの逼迫した市況に乗じて、アジアのさまざまな航路でコンテナ1本あたり100米ドル～1500米ドルのピーククシーズンサーチャージ（PSS）を課している。

航空

• 中国の鄭州空港とベルギーのリエージュ空港を結ぶ新しい貨物路線が開設され、ボーイング767-300型貨物便が週4便運航されている。中国と欧州のつながりを強化し、アジア、欧州、米国にまたがるサプライチェーンのつながりを補完する路線となる。
• 英国とドイツで、焼夷装置を内蔵した小包による発火事件が発生し、サプライチェーンが混乱に直面している。テロ対策捜査が進められている中、米国、カナダ、オーストラリアなどの国々は航空貨物のセキュリティ規制を強化している。Airforwarders Associationのブランドン・フリード氏は、特にホリデーシーズンは貨物の配送遅延が広範囲に及ぶ可能性を指摘し、ワクチンなどの重要な貨物を保護するために貨物輸送業界内の協力が必要であると強調した。
• 各航空会社の冬期スケジュールが先週から始まり、世界中の貿易レーンで航空機の再配置が行われている。eコマースの成長を支援するために輸送能力がAPACに移動しているため、大西洋横断便の積載能力は減少している。

航空

• 国際航空貨物協会（TIACA）とサウジアラビアのキング・サルマン国際空港（KSI）は、サウジアラビアの航空貨物産業の促進と強化を目的とした戦略的基本合意書（Memorandum of Understanding、MoU）に調印した。これには、貨物大手航空会社向けのトレーニングプログラム、イノベーション、持続可能性が含まれている。サウジアラビアの加盟は、世界有数のロジスティクスプレーヤーとしての地位を確立しようとする同国の決意を示すものである。
• Qatar Airways CargoとQatar Postal Services Company（Qatar Post、カタール郵政公社）は、Qatar Postの顧客に効率的なサービスを提供するための戦略的契約を締結した。この契約には、Qatar Airways Cargoが取り扱うQatar Postの貨物の運賃を競争力のある価格に設定することが含まれている。Qatar Postの物流インフラを強化し、追跡能力の向上を重視した戦略的な動きと言われている。
• Emirates SkyCargoは、同社の貨物機フリートにボーイング777型貨物機を5機追加すると発表した。伸び続ける世界の航空貨物需要に応え、貨物輸送能力を拡大することに取り組んでいるEmiratesは、2025年から2026年にかけてボーイング777型貨物機5機を納入する予定である。

海上

• サウジ港湾局（Mawani）とハンブルク港湾局は、技術のデジタル化やインテリジェントな港湾ソリューションなどの先進技術を備えた持続可能な港湾を構築するためのMoUに調印した。このMoUにより、港湾運営の管理と、港湾全体の効率化に必要な知識やベストプラクティスの共有が促進されると考えられている。
• インドのヴィジンジャム積替港は、最新のレーダーシステムや人工知能（AI）技術などの最新技術を導入した。海洋操業の最適化とターンアラウンドタイムの短縮化を図り、相互接続された技術システムのネットワークが船舶の動きをリアルタイムで監視することになる。こうしたヴィジンジャム港の技術導入は、港湾業務の変革のために独自の技術ソリューションを促進し開発するというインドの広範な目標に沿ったものである。

陸上輸送

• モビリティソリューション企業のEasy Leaseは、アラブ首長国連邦のGallega Global Logisticsの株式51％を取得したと発表した。これにより、Easy LeaseはUAEのロジスティクス市場へのアクセスが可能になり、Gallegaの350万平方フィートに及ぶロジスティクスインフラを利用して市場の需要に応えられるようになる。

• 米国消費者製品安全委員会（Consumer Product Safety Commission、CPSC）は、授乳用枕の必須性能および表示基準を定める最終規則を発表した。2023年10月25日から180日後（2025年4月25日前後）に発効となるこの規則は、授乳中または哺乳中の乳児を支えるために設計されたあらゆる授乳用枕を対象とする。授乳用枕と一緒に販売されるスリップカバーもこの規則に含まれるが、乳幼児用のソフトな抱っこひもは含まれないことをCPSCは明確にしている。新たな規制では、授乳用枕に、耐久性のある乳幼児向け用品としての登録、試験、認証基準を満たすことを義務付けている。
• カナダのグローバル連携省（Global Affairs Canada）は、採掘、製造または生産の全部または一部に強制労働が関与する物品の輸入禁止措置を強化するための追加措置について、関係者の意見を求めている。これらの措置は、物品の透明性と追跡可能性を証明するための要件を強化し、輸入禁止を強固に執行するための手段を提供し、グローバルサプライチェーンにおける搾取に対処するための現行の輸入禁止制度の効果を高めることを目的としている。 協議や参加の詳細については、international.gc.caを参照のこと。
• 米国国土安全保障省 税関・国境取締局（CBP）は、強制労働に関するウェブサイトを刷新し、大幅なアップグレードを行った。強制労働取締りに特化したページが設けられ、ウイグル強制労働防止法（UFLPA）、貨物引渡差止命令（WRO）、制裁による米国の敵対者への対抗法（Countering America’s Adversaries Through Sanctions Act、CAATSA）など、CBPの取締り措置に関する統計、ダッシュボードが掲載されている。
• カナダ政府は、特定の状況下において、中国から輸入される以下の製品に対して課される追加関税納付の免除、または納付済みの追加関税の還付を行う。
  • 電気自動車（2024年10月1日より）
  • スチールとアルミニウム（2024年10月22日より）
  ほとんどの場合に暫定的にのみ免除を与えるという意図であり、適切な免除期間も検討している。免除措置は、追加関税の発動日にさかのぼって適用することもできる。免除の申請はremissions-remises@fin.gc.ca宛に提出すること、財務省が他の連邦関連省庁と協議のうえ、審査を行う。