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2024年第4四半期のグローバル貨物輸送と物流のトレンド

2024年11月 - UPSの貨物輸送業界のエキスパートが、第4四半期の最新情報を織り込んだ、2024年の貨物および物流のトレンドと市場の最新情報をまとめました。御社の今後のビジネスにお役立てください。

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グローバルなマクロ経済のトレンド

世界のGDP成長予測は6月から上方修正。米国の成長が牽引し、中国とAPAC地域の予測は若干下方修正された。

2022年からの対前年比の成長率と2025年までの予想を示す表。

四半期の実質GDP成長率を示す棒グラフ。2024年通年では平均で2.73%と予想される。

四半期の実質GDP成長率

  • 実質輸出は、中国とAPAC地域からの輸出減少を受け、10月は世界全体で前回6月時点の予想から2.96%へと若干下方修正された。
  • 工業生産(10月)は、欧州とAPACで減少し、中国と米国でわずかに増加したため、前回6月時点の予想から修正が必要となった。
  • 小売売上高の予想は、米国、中国、APACで前回予想を下回ったため減少した。

出典:IHS-Markit: 2024年10月

グローバル・リージョンにおける2024年6月と2024年10月の四半期実質GDP予測の比較を示す棒グラフ:米国、EU、APAC、中国、世界全体。

2024年の実質GDP成長率予想

  • 2024年の世界GDP成長率予測は、6月には約2.68%であったが10月には2.73%に上方修正された。

米国、欧州、中国、全世界の見通しに基づき下落を示すPMI(購買担当者景気指数)の折れ線グラフ。

購買担当者指数(PMI)

  • 世界の製造業PMIは、米国と中国のパフォーマンス低下により、9月には48.8に低下した。
  • 中国の製造業PMIは9月に49.3に低下し、中立水準を下回り、新規受注は2022年9月以来の低水準に落ち込んだ。
  • 米国の製造業PMIは47.3に下降し、2024年以降最低の結果となった。
  • ユーロ圏の製造業PMIは、新規受注と生産高の縮小により、45.0と同じレベルで推移している。

出典:S&P Global

米国、ヨーロッパ、中国、および全世界の2022年から2025年の四半期ごとのインフレ率の見通しを示す折れ線グラフ。

インフレ率

  • 世界の年間インフレ率は6月の4.63%から10月には4.46%へとわずかに下方修正され、2024年下半期のインフレ率は若干低下する見込み。
  • 中国のインフレ率は、昨年第3四半期と第4四半期のインフレ率上昇が経済に影響を与え、2024年6月の0.2%から9月の0.4%にわずかだが上方修正されたが、世界のインフレ率よりも大幅に下回っている。
  •  米国のインフレ率予想は6月から下降して10月に2.83%となり、2024年の最後の2四半期はインフレ率が3%を下回る見込みである。

出典:IHS Markit(2024年10月)

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航空貨物市場の最新情報

2024年は貨物需要が輸送能力の伸びを上回る状況が続き、特にeコマースの取扱量が多いAPAC発地の路線が牽引力となり市場運賃を押し上げています。

2023年から2024年末までの航空貨物の需要とキャパシティを示す折れ線グラフ。

需要とキャパシティとの比較

  • 世界の航空貨物需要は9月に8.0%増加し(eコマースを除くと7.0%増)、2024年で初めて2桁成長を下回る月となった。
  • 年初来(YTD)の国際航空貨物需要は13%、積載能力は同期間に11%増加した(Accenture Cargo)。
  • Accentureは、第4四半期の需要は7.6%に増加すると予測しているが、デ・ミニミス(非課税基準額)のeコマース貨物については十分考慮されていない。

出典:IATA(国際航空運送協会)需要(WorldACD 9月)IATA 積載能力(Accenture 9月号Accenture Cargo

*IATA/Accenture Cargo発表の2024年1月~9月平均分散を用いたIATAの需要予測

2023年1月年から2024年9月年までの前年比での航空貨物市場の料金の変化率を示す棒グラフ。

手数料

  • 市場レートは9月に前年比13.2%と上昇した。APACのアウトバウンド輸送需要が引き続き伸びている。これはAPACから米国・EUの仕向地への航路の料金が上昇しているためである。年初来、APAC地域発貨物の運賃は世界市場の運賃に比べて高水準を維持しており、前年同期比(YoY)成長率は21%増であった。
  • 中東・南アジア地域は急成長し、前年同期比で58%増となった。
  • 2024年第4四半期までは需要が積載能力を上回ると予想され、特に輸送量の多い路線では運賃が上昇し続けると見込まれる。

出典:WorldACD

航空貨物輸送業界のトレンド

eコマース需要の急増が引き続き航空貨物市場の追い風となり、2024年末までの第4四半期は需要が積載能力を上回り続けるため、繁忙が予想されている。

貨物輸送業界の展望

需要の減少と有効船腹量の再配置により、8月以降運賃は低下しているが、ILA労働組合によるさらなる混乱の可能性などの「ワイルドカード」が存在することから、2024年第4四半期の運賃動向が逆転する可能性がある。

2019年から2024年末までの太平洋間、大西洋間の貿易ルート、アジアから欧州連合への貿易ルート、世界平均の海上貨物輸送市場の需要を示す折れ線グラフ。

需要

状況:

  • アジアから米国への貨物輸送量は、2024年上半期を通じて前年比18%増加した。1 最新の2024年度予測では、2024年は2021年の記録的な取扱量を上回ると予測されている。1
  • 米国西海岸の港湾で鉄道貨物の滞留状況が悪化、9日以上滞留するコンテナ数は8月1日から10月18日まで296%もの増加を見せている。2
  • Global Port Trackerは、10月の米国輸入予測を前年同月比+3.1%、11月を+0.9%、12月を+0.2%に上方修正した。3

影響:

  • 2024年末まで好調に推移すると予測されているため、西海岸の混雑と鉄道の遅延は今後も続く可能性が高い。

出典:1) Drewry、2) ロサンゼルス港、3) National Retail Federation

2019年から2024年末までの太平洋間、大西洋間の取引レーン、およびアジアから欧州連合への取引レーン、世界平均の海上貨物のアウトバウンド輸送能力を示す折れ線グラフ。

キャパシティとの比較

状況:

  • フリートの成長率は前年比11.2%増で、2025年にはさらに5.2%の成長が見込まれる。1
  • 運送業者は、市場の需要動向に応じて有効船腹量の追加または削減を行ってきた。2
    • 6月から9月までの有効船腹量は、アジア発北米路線で12.9%増加したが、欧州発北米路線では9.2%減少した。2
  • 第4四半期の需要が予想を下回った場合、運賃の下落を回避するためにブランクセーリング(抜港)が増加する可能性がある。

影響:

  • 新造船の納入が続いているとはいえ、運送業者がスエズ運河に戻るまで、船腹量は制約を受けることになる。

出典:1) Drewry Container Forecaster、2) Alphaliner

2024年10月までの中国・米国東海岸間、中国・米国西海岸間、中国・EU間の海上輸送貨物の運賃を示す折れ線グラフ。

相場

状況:

  • 夏季に見られた需要の急増がほぼ沈静化したため、アジア発米国行き貨物の運賃は落ち着いている。1
  • アジア発米国東海岸および西海岸行き貨物の運賃はほぼ同等で、Platts(エネルギー関連情報の配信社)が発表する貨物インデックス史上、両トレード路線の差がかつてないほど狭まっている。2
  • ILAとUSMXの間で新たな契約が締結されなければ、アジア発米国行き貨物需要がオフシーズンに再び急増すると考えるアナリストもいる。3

影響:

  • 2024年第4四半期の運賃変動は、主に労使交渉の進捗状況と、1月15日より前に出荷が前倒しされる可能性に左右されるであろう。

出典:1) Drewry、2) Journal of Commerce、3) Journal of Commerce

船舶が通る運河

業界の推進力 - ILAとUSMX間で進行中の交渉

  • ILA労働組合は3日間の短期ストライキを経て職場に復帰した。両当事者は、交渉の重要な要素のひとつである賃金について折り合った後、現行契約を90日間延長する暫定的な「握手合意」に応じた。1
  • しかしながら、交渉には大きな障害がいくつか残っており、特に組合側は「自動化も半自動化も一切行わないという絶対的かつ完璧な文言」を求めるという立場を示している。1
  • USMXとしては、米国市場の成長機会を維持するため、この要求に抵抗すると予想される。自動化による高密度化は、コンテナターミナルのTEU増加を促進するための重要な手段である。1

この動向の影響: 1月15日までに合意が成立しなければ、ストライキが再燃する可能性が高い。2 交渉が実質上進展しない場合、輸入業者は混乱を避けるために在庫の前捌きを検討するかもしれない。

出典:1) JOC、2) Drewry

港に停泊中の貨物船

業界の推進力 - 米国の輸入需要が運営に与える影響

  • 5月から9月にかけて急激かつ長期的に続いた米国の輸入需要増はほぼ収束を見せているものの、米国のサプライチェーンへの影響は今後数週間にわたって続くであろう。1
  • Drewryは、2024年通年のアジア発米国行き貨物輸送量は、2021年の記録的な年間輸送量を上回ると予測している。
  • ロサンゼルス/ロングビーチのインターモーダル(複合一貫輸送)の遅れは2年ぶりの高水準で、鉄道輸送コンテナの49.9%が9日以上滞留している。9日以上滞留するコンテナの月間総数は、過去11週間で296%増加した。2

この動向の影響: 中国のゴールデンウィーク休暇は、港湾ターミナルにとっては積み残し解消のための救済策となるかもしれないが、1月15日の労使契約期限前にオフシーズン需要の第二波が押し寄せれば、米国港湾は大きな負担を強いられることになるだろう。

出典:1) Drewry、2) ロサンゼルス港

海上コンテナを積載した海上貨物船

業界の推進力 - 市場運賃

  • アジア発米国行き貨物の運賃は、繁忙期当初の膨大な輸入量がより通常のレベルに戻っているため、8月以降着実に低下している。3
  • 今後運賃はさらに下落する可能性があるが、運送業者はブランクセーリング(抜港)を利用して下落を緩和する可能性が高い。10月はアジア発米国行き貨物のブランクセーリング(抜港)は2月以来最多となった。4

出典:3) SCFI、4) UPS社内分析

税関および貿易コンプライアンスのトレンド

国際貿易政策における最近の動向を見ると、貿易不均衡と地政学的紛争に対する措置が強化されていることが見えてくる。

全世界の物流と流通のトレンド

インフレ率と金利の低下が個人消費を牽引している。

2022年以降のコントラクト・ロジスティクス市場の成長と2028年までの予想を示す棒グラフ。2024年から2028年までに年平均4.1%の成長(CAGR)が予想されている。

2024年の世界のコントラクト・ロジスティクスは、前年比4.2%増の成長ペースを維持

  • 世界のヘッドラインインフレ率とコアインフレ率は2024年に低下し、2025年にはさらに低下すると予想されている。2
  • 多くの中央銀行が2024年に利下げモードに入ったことで、2024年の残りの期間も追加利下げが予想されている。3
  • コントラクト・ロジスティクス市場は世界のGDPを引き続き上回ると予想されている(2023~2024年:前年比2.7%、2024~2028年の年平均成長率(CAGR)2.8%)。1

この動向の影響: 金利低下とインフレ率の低下により、2024年と2025年には個人の消費と借入が増える可能性が高まっている。

出典:1) IHS Markit、2) IMF、3) Reuters

通路を歩いている倉庫勤務の社員

サプライチェーンの地域化と自給自足

  • 新興経済国が引き続き成長の牽引役を引き受けているおかげで、北米や欧州のヨーロッパの伸びが緩やかであるのに対し、APAC地域は大幅な拡大を見せている。1
  • APACへの投資は今後も続くが、特に必須物資を管理したい国にとっては、国内および地域のサプライチェーンとの再連結がより魅力的になってきている。

この動向の影響: ロジスティクスアウトソーシングの需要が増加することが予想される中、運送業者はリスクを軽減するためにサプライチェーンソリューションを多様化することになるであろう。

出典:1) TI コントラクト・ロジスティクスレポート(2024)

上から見たコンテナ船ターミナル

産業界の動向

  • ロジスティクス業界での地位を強化するために、買収による企業の統合が続いている。
  • 倉庫費用は今後も上昇を続け、特に欧米諸国では過去の平均を上回って推移すると予想される。
  • 労働市場が逼迫する中、ロジスティクス業者は労働力不足を緩和するためにテクノロジーと自動化への投資を続けている。

この動向の影響:大規模な統合物流会社は、市場での競争において、その規模によって恩恵を得ることができる。

この文書は情報提供のみを目的としています。法的な助言には当たらず、また法的な助言を含みません。本書内の情報は、政府および業界、その他の公的情報源から得たものです。UPSが個別に確認したものではなく、変更される場合があります。本書に記載の情報の利用可能性の判断については、受領者が単独で責任を負います。受領者は情報について行動を取る前に、自身の特定の状況に適用可能かどうかに関して、専門家の助言を求めてください。

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